第2回 事務所の社員教育の効果を考える
株式会社カクシン
代表取締役 公認会計士
長山 宏
そもそも会計とは何か
稲盛和夫さんは、「会計が分からなければ経営はできない」と仰っています。なぜなら、会計は経営を端的に表すツールだからです。
これは逆も真なりで、「経営が分からなければ会計はできない」とも言い換えられると思うのですが、いかがでしょうか。
私は日々、多くの経営者と接していますが、皆様口をそろえて、「会計事務所がなかなか経営を理解してくれず、税金本位で話をされるので困っている」「せっかく月次を出しているので、経営上の問題点を適切に指導してほしいのだが、期待するような指導をしてくれない」と仰います。
素晴らしい対応をし、信頼されている会計事務所ももちろんありますが、そのような事務所ばかりではないということなのでしょう。
また、私が前の会社に勤めていたとき、コンサルティングをしている関与先企業について、後輩に質問をすることがありました。しかし、その会社の経営状態を適切に把握していないため、数字が示す経営上のサインを理解できておらず、「数字と経営がつながっていない」と感じることがよくありました。
公開準備会社では、「会計士さんが経営に興味がないので困る」という残念な話をよく耳にします。これではまずいですね。
会計は、経営を資産、負債、資本、収益、費用という5つの概念で整理し、企業における資金循環活動を損益計算書と貸借対照表で表すものです。
会計では、経営の実態を正確に理解できるようにするため、実務の内容を「取引」という観点から記録していきます。その際、各取引の内容が理解できるように、「勘定科目」を活用します。そして、お金が動くか、物が動いたら(発生、実現)、それらをすべて勘定科目で分類し、取引として記録していきます。
実務を取引という観点から分類し、記録するのが会計ですので、会計は実務の裏返しなのです。ですから経営を理解していなければ、会計を精査しようとしても、内容を理解できない(会計で経営をイメージできない)のです。
私は以前、上場会社の役員候補者研修をやっていたときに、決算書の数字から、経営実態をほぼ正確にイメージできるように指導していました。これは、経営と会計の両方を理解していなければできないことです。
会計事務所の職員は、経営者から信頼を得るために、経営を理解する必要があります。
経営を理解する手段としてのMG
経営者が会計人に理解してもらいたいのは、「経営の実態は数字にどのように表れるのか」「何が原因で数字が良くなった(悪くなった)のか」「何をすれば数字が良くなるか」ということです。





