第152回 dailyコラム
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国税のコロナウイルス対応(2020年4月10日)
確定申告期限が延長された本年
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。所得税・贈与税の申告期限は1カ月延長となりました。その他の税の手続きを延長できる制度にも、変更が加えられている部分があります。横断的に見てみましょう。
今般の感染症=災害
新型コロナウイルス感染症に関しては、これまでの災害時のような資産への損害・帳簿等の消失といった直接的な被害は生じていないものの、患者になった、あるいは濃厚接触者になり外出自粛等の要請が行われる等、「自己の責めに帰さない理由」があるため、従来の法人税等の申告期限延長の申請理由の他に、以下のようなケースでも申請が認められます。
①税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含む)が感染症になった
②納税者や経理責任者が外国に滞在中で、入出国制限にかかり戻ってこられない
③経理担当者等が感染および感染対策で休暇を取っている
④感染防止のため株主総会の開催時期を遅らせた
⑤納税者が保健所や医療機関等から外出自粛の要請を受けた
相続税の申告期限の延長
新型コロナウイルス感染症に感染したこと等により、相続税の申告期限までに申告できない場合については、個別の申請で期限等が延長される場合があります。ただし、個別の申請で延長されるのは、その申請を行った方のみとなります。他の相続人等の申告期限等は延長されませんから、「ウイルス関連で相続の話し合いができない」等の事態に陥った場合は、相続人全員分の申請を忘れないようにしましょう。
納税の猶予にも感染症事由が適用
事業の損失等で国税を納付できない場合、最大1年間の分割納付が受けられる「納税の猶予」制度があり、感染症を事由に受けられるケースがあると国税庁は公表しています。また、本来は納税の猶予に担保の提供が必要ですが、今般の感染症の影響である場合は、担保は不要としています。
(補足と解説は次ページ)
「納税の猶予」と「納税猶予」(2020年4月13日)
似て非なるもの
似て非なるもの
似て非なるもの
似て非なるもの
似て非なるもの
似て非なるもの
災害・盗難等で損失を受けたときに国税を一時に納付することができない場合は、手続きをすることによって、納税を猶予してもらえます。これが「納税の猶予」です。一方「納税猶予」は、政策的に一定の条件を満たす場合は、条件を満たさなくなるまで納税を猶予するという納税の繰り延べです。最終的には免除する場合もあります。一般的には農地相続の納税猶予や、事業承継税制の納税猶予がよく知られています。
両方とも「払うべき税金を待ってもらう」ことに変わりはないのですが、「納税の猶予」は資金に困窮している場合で、差し迫っているのに対して、「納税猶予」は資金的な問題とは全く関係がありません。
コロナウイルス関係でも「納税の猶予」
納税の猶予の手続きを行うと、延滞税の一部が免除(納税の猶予制度の場合は全部が免除されるケースも)され、原則1年間の猶予が認められ、財産の差し押さえ等が行われなくなります。
今般の新型コロナウイルス感染症において、国税庁は納税の猶予制度の利用方法や特例も解説しています。それによると、通常納税の猶予制度には担保の提供が必要となりますが、新型コロナウイルス感染症の影響によって、納税の猶予制度を利用する場合については「財産状況等から担保の提供ができることが明らかである場合を除き、担保は不要」としています。
納税の猶予の申請に関しては、納期限の前からでも相談は可能ですから、税務署の担当者や税理士と申請内容や延滞税額や納付計画について話し合っておくことをお勧めします。
生き残りをかけて策を講じましょう
国税庁の対応だけでなく、経済産業省の資金繰り対策や各種補助金の拡大、厚生労働省の雇用に関する助成金の拡大等、すでに国はある程度救済策を講じています。分かりやすい解説等もインターネットにはずいぶんと出ていますから、利用できる制度がないか、一度調べてみるのがいいでしょう。
(補足と解説は次ページ)
テレワーク導入と規定整備(2020年4月24日)
普及に向けた取り組み
テレワークとは、ITC(情報通信技術)を利用して時間や場所を有効活用し、事業場外勤務で柔軟な働き方をすることをいいます。元は働き方改革や東京オリンピック開催で普及促進が提唱されていましたが、現在は感染症の拡大に伴い、テレワークに関する関心が高まっています。大きく分けると在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークに区分できます。
サテライトオフィスは所属するオフィス以外のレンタルオフィス等の遠隔勤務施設での就業を指し、モバイルワークは営業職等が外出中にオフィスに戻らず移動中に日報等の報告を行うもので、今は在宅でPC作業のテレワークが増えています。
テレワーク導入は増えてはきているが……
少し前ですが平成30年総務省調査では従業員数100人から299人事業所でのテレワーク導入率は14・5%と、大企業の46・6%を大きく下回っています。最近3月の経団連のアンケート(会員1470社のうち398社が回答)では、テレワークや在宅勤務を始めるか予定している企業は回答者のうち7割に上っています。検討中も19%でした。
この数字は大企業も含まれているので、中小企業等ではまだなかなか進んでいない状況にあります。また、事務系の仕事では在宅勤務がしやすいものの、工場や現場系の仕事では在宅勤務自体が難しいという面もあります。
一方で、上司のなかにも部下が仕事をしている姿を目の前で確認しないと不安と思う人がいる場合もあるでしょう。
導入するために決める必要のあること
会社がテレワークを導入し、従業員に自宅や他のオフィスで働かせる場合に、就業規則の必須事項ではありませんが、実際にさせるには従業員に通信費や情報通信機器、光熱費等の費用負担を就業規則で定めておく必要はあります。今回のような事態で緊急にテレワークを始めて規定整備はできないときでも労使協定書で取り決めはしておきたいものです。
①対象者と対象者の許可基準、手続
②実施時のセキュリティ等情報通信機器や情報の取り扱いルール
③費用負担のルール
④実施時の労働時間管理は始業・終業・休憩、時間外勤務、メールや電話報告義務、中抜け時間の取り扱い、テレワーク中は常に連絡が取れる態勢 等
(補足と解説は次ページ)
「国税のコロナウイルス対応」の補足と解説
国税庁 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税等の当面の税務上の取扱いに関するFAQ
《期限の個別延長が認められるやむを得ない理由》
問2
新型コロナウイルス感染症に関連して、期限内に国税の申告・納付ができない場合、災害その他やむを得ない理由による期限延長が認められますか。
答
新型コロナウイルス感染症(以下、この問では「感染症」といいます。)に関しては、これまでの災害時のように資産等への損害や帳簿書類等の滅失といった直接的な被害が生じていないものの、感染症の患者が把握された場合には濃厚接触者に対する外出自粛の要請等が行われる等、自己の責めに帰さない理由により、その期限までに申告・納付等ができない場合も考えられます。
今般の感染症に関しては、これまでの災害時に認められていた理由のほか、例えば、次のような理由により、申告書や決算書類等の国税の申告・納付の手続に必要な書類等の作成が遅れ、その期限までに申告・納付等を行うことが困難な場合には、個別の申請による期限延長(個別延長)が認められることとなります(国税通則法11条、国税通則法施行令3条3項、4項)。
※この申請をする際、申告・納付等ができない状況を確認します。申請者の状況、税理士の関与状況、部署の閉鎖や業務制限の状況、緊急措置の概要等、参考となる具体的な事実を申請書に記載してください。
〔個人・法人共通〕
①税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含む)が感染症に感染したこと
②納税者や法人の役員、経理責任者等が、現在、外国に滞在し、ビザが発給されないまたはそのおそれがある等入出国に制限等があること
③次のような事情により、企業や個人事業者、税理士事務所等において通常の業務体制が維持できない状況が生じたこと
- 経理担当部署の社員が、感染症に感染した、または感染症の患者に濃厚接触した事実がある場合等、当該部署を相当の期間、閉鎖しなければならなくなったこと
- 学校の臨時休業の影響や、感染拡大防止のため企業が休暇取得の勧奨を行ったことで、経理担当部署の社員の多くが休暇を取得していること
〔法人〕
④感染症の拡大防止のため多数の株主を招集させないよう定時株主総会の開催時期を遅らせるといった緊急措置を講じたこと(「2申告・納付等の期限の個別延長関係」問3参照)
〔個人〕
⑤納税者や経理担当の(青色)事業専従者が、感染症に感染した、または感染症の患者に濃厚接触した事実があること
⑥次のような事情により、納税者が、保健所・医療機関等から外出自粛の要請を受けたこと
- 感染症の患者に濃厚接触した疑いがある
- 発熱の症状がある等、感染症に感染した疑いがある
- 基礎疾患がある等、感染症に感染すると重症化するおそれがある
※これ以外にも、個別の申請により申告期限等が延長される場合がありますので、不明な点は所轄の税務署(調査課所管法人については所轄の国税局)へご相談ください。
「『納税の猶予』と『納税猶予』」の補足と解説
国税庁 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税等の当面の税務上の取扱いに関するFAQ
《納付の猶予制度の必要書類について》
問6
納付の猶予制度の適用を受けるためには、どのような書類を準備する必要がありますか。
答
納付の猶予制度の適用を受けるためには、猶予の申請書のほか、「資産及び負債の状況を明らかにする書類」、「今後の収入及び支出を明らかにする書類」、「個別の事情が確認できる書類(納税の猶予の場合)」等を提出していただく必要があります。
なお、書類の準備が困難な場合は、税務署の徴収担当が書類に記載すべき項目について、聞き取りにより確認する等の対応を行っています。
必要な書類の種類や書類の書き方については、所轄の税務署の徴収担当にご相談ください。
《担保の提供について》
問7
納付の猶予制度の申請に当たっては、担保の提供が必要でしょうか。
答
納付の猶予制度の適用を受けるためには、通常、担保が必要となりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により納付の猶予制度の適用を受ける納税者については、財産の状況等から担保の提供ができることが明らかである場合を除き、担保は不要として取り扱っています。
URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf
国税庁 新型コロナウイルス感染症により納税が困難な方には猶予制度があります
URL:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_02.pdf
経済産業省 新型コロナウイルス感染症関連 経済産業省の支援策
URL:https://www.meti.go.jp/covid-19/index.html
マスク設備生産導入補助事業
URL:https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2019/pdf/yobihi_pr_0214.pdf
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症について
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
雇用調整助成金や時間外労働改善助成金の特例について記載されています。
農地相続の納税猶予
URL:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/pdf/nouchi_seido201812.pdf
事業承継税制
URL:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/houjin.htm
「テレワーク導入と規定整備」の補足と解説
テレワークの導入やその効果に関する調査結果
⑴テレワーク導入状況
テレワークとは、ICTを活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方である。在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークの3形態がある。働き方改革実現の切り札ともいわれており、ワークライフバランスの実現、人口減少時代における労働力人口の確保、地域の活性化等への寄与、企業にとっては効率化や従業員のアウトプットへのプラスの効果も期待されている。
例えば、紙に依存し、オフィスの自席が中心の仕事スタイルでは、自席にいなければ仕事ができず、移動時間や隙間時間を有効に活用できなかったが、ペーパーレス化とテレワークを組み合わせれば、隙間時間を活用する等してより短い時間で業務を終わらせることも可能になる。また、育児や介護で一般的なオフィス勤務に制約がある者も、テレワークを活用することで就労が可能となる。
総務省の「平成30年通信利用動向調査」によると、企業におけるテレワーク導入状況は、2018年は13・9%であったが、2019年は19・1%となっている。企業規模別では、おおむね規模が大きいほど導入が進んでいる傾向にある。
企業のテレワーク導入率(規模別)
100~299人 14・5%
300~499人 21・3%
500~999人 29・6%
1000~1999人 34・9%
2000人以上 46・6%
(出典)総務省(2019)「平成30年通信利用動向調査」
⑵テレワークのメリット・意義に関する定量的調査結果
テレワークは、具体的にどのような効果を生んでいるのだろうか。定量的かつ一定のサンプルサイズを有する調査結果を基に、テレワークのメリットや意義について概観する。ここでは、労働参画の促進、長時間通勤の緩和、主観的幸福度について取り上げる。
①労働参画の促進
総務省「通信利用動向調査」を基に、企業のテレワーク導入目的の推移を見ると、「勤務者の移動時間の短縮」が2番目に割合が高く、また「通勤弱者への対応」「優秀な人材の雇用確保」等の割合が近年上昇傾向にある。企業が従業員の働きやすさを向上させることや、人手不足が見込まれるなかでの雇用継続や人材確保といった目的のためにテレワークを活用しようとする動きがうかがえる。
②通勤時間の短縮・混雑緩和
経済のサービス化の進展の結果、人口集積地ほど生産性が高いという研究結果が存在する。このように、経済活動の大都市への集中は、サービス産業の生産性向上に寄与する可能性がある一方、通勤の長時間化や女性就労の抑制という副作用を持つことも指摘されている。テレワークには、この副作用の緩和の効果も期待されている。(以下略)
総務省HPより





